小学校の1年生の田所ユウスケくん。
ユウスケくんはある日、一人で歩いていました。
学校の帰りです。
すると突然、知らないおじさんが話かけてきました。
なにやら焦った様子です。
「きみ、田所くん?今ね、きみのお母さんが、交通事故で病院に運ばれたんだ。すぐに行かないと、もう会えなくなっちゃうかもしれないよ!」
ユウスケくんはそれを聞いて、驚きと悲しみに襲われました。
お母さんに会えなくなる、そんなの嫌だ。
だから、おじさんの車に乗り、お母さんの入院している病院に向かったのです。
車はどれくらい走ったでしょうか。
ユウスケくんは聞きます。
「ねえ、病院にはまだ着かないの?」
「うん、もうちょっとだよ。」
それから、また少ししてから聞きました。
「お母さんのとこには、まだ着かないの?」
「うん、もうちょっと。」
話しかけるたびに、だんだん口数の少なくなってくるおじさん。
小学生ながら、ユウスケくんはその状況に違和感を感じました。
そして、思い出したのです。
大人のいつも言っていた、「誘拐には気をつけてね」の言葉を・・・・
「逃げた方がいいよね。でも、どうすればいいの。」心の中で考えました。
きっと、「車から、降りたい」と言っても、きっと降ろしてくれないでしょう。
それは、ユウスケくんにもなんとなくわかっていました。
そして、ある賭けに出ました。
ユウスケくんは、こう言ったのです。
「おじさん、おしっこ漏れちゃう!」
「おしっこ?もうちょっとだけ我慢してくれよ。」
「ダメダメ漏れちゃう。あああーーーー。」
ズボンも下ろさず、車の中でおしっこを漏らしたのです。
それを見たおじさんは、焦りだしました。
「ちょっと待てよ。今、車停めるから。」
すぐに近くのコンビニに停車させ、ユウスケくんをトイレに行かせました。
「ほら、行ってきな。すぐ戻ってくるんだよ。」
ユウスケくんはコンビニに入ると、すぐに店員さんに助けを求めました。
店員は状況を理解して、警察へ通報しました。
誘拐されずに済んだのです。
もちろん、お母さんが事故にあったというのはすべてでたらめでした。
その時間、お母さんは家で元気に夕飯の支度をしていたそうです。
ユウスケくんは、機転を利かせられたから助かりました。
あなたが子供だったころ、こうして機転を利かせられましたか。
もしも、機転を利かせられなかったら今頃は・・・・