友達との約束

小学生のころに体験した不思議体験。

四年生の夏だった。

大親友のAが、他の学校に転校してしまったのだ。

Aとは仲良しで、いつも一緒に遊んでいた。

一緒に虫を捕ったり、ゲームしたり、子供ながらに将来の夢を語り合ったりした。

だから、Aが転校してしまうと知ったときは本当に悲しかった。

最後のお別れの時は、お互いに泣きそうだった。

転校するだけだ。

会えなくなるわけじゃないんだ。

たった、電車で3時間半の距離に行ってしまうだけなんだ。

そう言い聞かせた。

・・・・・・その後は、最初のうちこそ電話したり、手紙を送りあったりと連絡を取っていた。

でも、半年を過ぎたころには、あまり連絡をしなくなっていった。

悲しいことに、人は顔を合わさないと疎遠になってしまうものなのかもしれない。

そして、Aが転校して一年半ほど経ったころだった。

俺が学校から家に戻ったとき、電話が鳴っているのが聞こえた。

自宅の電話だ。

プルルルルルーーー

鍵っ子で両親共働きの俺の家には、誰もいない。

プルルルルルーーー

急いで鍵を開けて家に入ると、電話に出る。

「はい、もしもし!」

「あ、久しぶり。Aだけど。」

「・・・・? おーーー、Aーー!久しぶり!元気してた?」

一年近く連絡取り合っていないせいで、声だけ聞いても一瞬誰だか分からなかった。

でも、連絡をもらってめちゃくちゃテンションが上がる。

やばい、たった1年やそこらなのに懐かしく感じる。

そして、すごく嬉しかった。

Aは言った。

「あのさ、突然だけど、今からこっち来れない?」

突然とんでもないことを言い出すな、と思う。

「今からはさすがに無理だよー。今、お母さんもお父さんもいないし、お金ないもの!」

お金のこともさることながら、小学生だった俺は、一人で遠くに行った経験がなかった。

「お金はかからないよ。」

「そんな、お金出してもらうの悪いから!今日は止めようよ。日曜とかでも良くない?」

「今日じゃなきゃダメなんだよ。」

突然電話をしてきたAは、わがままを言う。

こいつ、こんなにわがままだったっけ、と疑問を感じる。

何か事情があるのだろうか。

たとえ事情があったとしても、今日は本当にダメなんだ。

学校の発表会が間近なのだ。

クラスの班ごとに劇を発表するというお楽しみ会が来週末に迫っている。

俺は今から友達の家に行って、準備をしなくてはならなかった。

「A、ゴメン!俺は今日、用事があるしさ。また今度にしてよ。」

そう言うとAは寂しそうな声を出した。

続き→友達との約束2

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