異世界につながる扉 後編

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中は女の子の部屋のようだった。

先ほど俺が寝ていた部屋よりも片付いている。

部屋の隅にはベッドがあり、誰かが眠っているようだった。

寝ている人に話しかけてもいいものだろうか。

迷う。

だが、この状況を説明してもらいわないことには先には進めない。

俺は意を決して、寝ている人に話しかけてみた。

「あの、すみません。」

「・・・・・」

「あの!すみません!」

「・・・・・」

「あのっ!ここはどこですかっ?」

「・・・ぅるさいな・・・・ちょっと勝手に部屋に入ってこないでよ!」

ベッドの中から顔を覗かせたのは、十代後半くらいの少女だった。

少女は眠そうな目でこちらを睨み付けている。

俺がじっと少女を見つめていると、少女が怒鳴った。

「もう、出てってよ!」

怒っているようなので、俺はその部屋を後にした。

どういうことなのだろう。

今の少女は誰なのだろうか。。

そして、ここはどこなのだ。

その後、俺の知ったことは衝撃的なんて言葉じゃ言い表せないものだった。

いろいろ探索し、調べに調べた結果わかったことがある。

俺が寝ていた場所は、俺の家らしい。

「らしい」というのは、俺の記憶と全く違うのだ。

起こしてしまった少女は俺の妹なのだというのだ。

それを知ったときに思ったことは、「冗談じゃない、俺には妹なんていない。ずっと一人っ子だぞ!」だ。

それに見たこともない中年の男女が、俺の両親だという。

これには違和感しかない。

さらには、まったく知らない人たちが、俺の友達なのだという。

俺はその人たち全員に記憶喪失扱いをされ、とても苦しんだ。

苦しんだ末、今では本当に俺の記憶が間違っているのではないかと思っている。

でも、心のどこかに違和感も感じている。

俺の知っている世界には、インターネットなんてものはなかった。

当然、PCだってスマホというものものない。

正確に言えばコンピューターは存在したが、一般家庭に普通に置いてある代物ではなかった。

少なくとも俺の周りの奴は持っていなかった。

平成という年号も、こちらに来て初めて知った。

テレビに映っている有名人が一人も分からない。

俺の知ってる有名人たちとはまるで違う。

スポーツも違う。

手を使わない球技はサッカー?

俺がいた世界だと、バレーボールのような競技だった。

こっちでいうところのセパタクローに似た競技だった。

だがセパタクローとも微妙にルールや人数が違う。

そんな戸惑うことばかりなのだが、似ている部分もある。

地球は同じく丸いし、流行の言葉は違うが言語はほとんど同じだし、世界の地形もほぼ同じだ。

スポーツは違うものが多い中、格闘技は俺の知っているものと結構似ている。

殴り合うし、投げるし、関節技もあるし、ほとんど同じだ。(俺は詳しくはないのだけど)

歴史に関しては結構違う。

過去に活躍した人物がまったく違うのだ。

なによりも、こちらの世界ではデパート店員が多くの人の憧れではないようだ。

俺はその憧れを求めて、こちらの世界に来てしまったのだが。

こちらに来てから3年以上経つが、もうこちらの世界に順応していると思う。

一応日常生活を送れているし、きちんと働いてもいる。

だが、ふとした時に違和感を覚えてしまう。

特に、家族や友達に対してだ。

今の家族や友達に不満はない。

皆いい人たちだ。

だが、俺の本当の家族や友人たちは、いったいどこに行ってしまったのだろうと心配になってしまう。

俺がいなくなったことで、心配をかけてないだろうか。

こんなことなら、もう少し親孝行しておくべきだったと後悔している。

もしかすると、ここで話した話はすべて俺の妄想なのかもしれない。

最近はそんな気もしてきている。

真実はわからない。

何もかもがわからない。

俺の記憶が間違っているのか、それとも世界は2つ以上存在するのか。

もしも俺の記憶が正しかったとしても、もうあっちの世界には戻れないんだろうな、と半ばあきらめてもいる。

こちらの世界も悪くはない。

なるべく前向きに生きようと思う。

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