その男性を仮に鈴木さんとしよう。
管理人が鈴木さんに、「あなたが体験した怖い話ないですか?他人から聞いた話でもいいですが、なるべく実話系で。」と尋ねた。
鈴木さんは、「これは幽霊も出てきませんし、狂ってしまったような人間も出てこないんですが、自分的にとても怖いと思った話なんです。」と前置きした上で話してくれた。
鈴木さんが高校生のころ。
クラスに男子転校生が入ってきた。
その男子転校生、クラスの人気が欲しかったのか、はたまた目立ちたかったのかはわからないが、転校してきてすぐのころに休み時間におかしなことを始めたという。
なんと、みんなの前でタバスコの一気飲みを披露したのだ。
鈴木さんは、転校生がなぜタバスコの一気飲みを始めたのかという詳しい経緯は知らないらしい。
おそらく、タバスコ一気飲み前日に「俺は、辛い食べ物でも全然へっちゃらだ。タバスコなんて辛くない」みたいなプチ自慢があったようだ。
それを聞いたクラスの男子たちから「じゃあ、証明してみろよ」といった感じで煽られてしまった。
それで、引くに引けない状況になってしまったのではないかと思われた。
あくまで憶測ではあるが、それに似たエピソードがあったのかもしれない。
そして、翌日の一気飲みに繋がったわけだ。
その転校生は、約束通りタバスコの一気飲みを披露した・・・
途中までは良かった。
順調にタバスコを飲んでいた。
でも3分の1ほど飲み干したところで、みるみる転校生の彼の顔は真っ赤になってきた。
さらに、だんだんと唇が腫れてきたように見えた。
そして、自分のカバンの中から弁当を出して、ガツガツと食べ始めたそうだ。
弁当を食べて、口の中の辛さを中和しようとでも思ったのかもしれない。
でも、それが悲劇の始まりだった。
辛さで舌が麻痺してしまっていたのか。
それとも急いで弁当を食べ過ぎたためなのか。
彼は思いっきり舌を噛んでしまった。
そのときにベロが激しく損傷したようで、大量の血を口から吐き出し始めた。
口の中に入っていた弁当も一緒に吐き出し、それも血で真っ赤に染まっていた。
転校生の彼は苦しそうに呻きながら、大量の弁当を吐き出した。
呻き声のせいなのか、弁当を吐き出しているというよりも、内臓でも吐き出しているように見えたという。
タバスコの色も混じっていたかもしれないが、あまりに大量の血を吐くものだから、クラス全体が騒然となった。
泣き出す女子までいたという。
鈴木さんは、その光景はまるでスプラッタ映画のようだったと回想している。
血は一向に止まらず、彼は誰かのハンカチで口を押えられ、すぐに保健室へと運ばれていった。
残ったクラスは、大量の血と生臭さが残り、混沌とした雰囲気に包まれていた。
鈴木さんは「僕には心霊体験はありませんし、人から脅されたりなどの怖い思いをしたことはとくにないんですが、あのときはかなり怖かったですね。」と話していた。
管理人が「転校生のその彼は、その後どうしたんですか?」と尋ねた。
すると、鈴木さんは苦笑いしながら答えてくれた。
「ああ、病院へ運ばれて行って舌を縫ったようです。病院から帰ってきた後は、すっかりおとなしくなってました。人間、調子に乗り過ぎると怪我しますね。」
これを、怖い話として扱っていいのかどうか迷った。
だが、実際に目の前で起こったらかなり怖いだろうなと想像できたので、当サイトで採用させてもらうことにした。