新・都市伝説「アゴミ」 2

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そんなあるとき。

Bと同じクラスだった男子の一人が事故に遭った。

トラックに轢かれてしまい、一時期意識不明の重体になったのだ。

その男子というのが、Bにイタズラ電話をした男子の一人だった。

そのことから、クラス中、学年中、学校中に戦慄が走った。

「あの事故はBの呪いだ。」

「次は、あいつの番だ。」

「あんた確か、Bのことを陰で「アゴミ」とか呼んで馬鹿にしてたよね?」「何言ってんの?それあんたの方でしょ?」

噂と共に、恐怖は伝染していく。

しまいには、学校に来なくなる者まで現れだした。

休んだ本人の口がみんなの前で言ったわけではないが、Bを恐れて休んでいるのだとみんな気が付いていた。

恐怖が広がるにつれ、先生たちの耳にもBの呪いの噂が入った。

先生たちも事態を重く受け止めた。

全校集会を開き、言葉を選びながら「呪いなんか存在しないこと」を生徒たちに伝えた。

だがそれも焼け石に水だった。

実際にBを目撃している者が多く、なによりもBにイタズラ電話を掛けた男子の一人が大きな事故に遭っているのだ。

全校集会なんかで鎮静できるわけもない。

それ以降も、その学校ではBの目撃談は後を絶たなかった。

誰かの身に何か良くないことが起きると、すべてBの呪いだという噂が流れた。

そうそう。

幼馴染のAだが、Bの自殺以来毎晩おかしな夢を見るそうだ。

Aが部屋にいると、コンコンっと部屋のドアがノックされる。

ドアを開けると、そこにはBが立っていて悲しそうにA聞いてくるそうだ。

「私のアゴ、目立つかな?」

夢の中でAが返事をしようとすると、

「私のアゴ、目立つかな?」

と同じことを聞かれる。

繰り返し同じことを聞かれ続けるのだという。

「私のアゴ、目立つかな?私のアゴ、目立つかな?私のアゴ、目立つかな?私のアゴ、目立つかな?私のアゴ・・・・」

毎回、汗びっしょりで起きる。

毎晩悪夢にうなされているせいで、日々の疲れが取れない。

結果として、体調も気分も冴えない日が続いていく。

どうやら悪夢にうなされているのは、Aだけではなかった。

Bにイタズラ電話をしたグループの男子たち、Bの葬式でBを笑いものにした男子たち、Bの陰口を頻繁に言っていた女子たち、多くの者がBの悪夢にうなされていた。

内容は皆まちまちだったが、共通しているのは以下の2つのことだった。

・Bが毎晩夢に現れること

・延々と同じことを質問されること(質問の内容は違うらしい)

こんなことが続けば、精神的に参ってしまう者が多いのも当然だ。

中には精神科に通う生徒もいたという。

ここまでのことを話してくれた水野さんは、「毎晩、眠れなくてつらいんですよ。」と言った。

そして、かけていた黒縁の眼鏡を外し目をこすった。

私は聞いた。

「あの・・・もしかして、水野さんって、Aじゃないですよね?」

「ははは。嫌だな。なんで僕がAなんですか。この話は、他人から聞いた話なんで、本当かどうかはわかりませんよ。」

水野さんはじっと私を見つめる。

目の下には黒いクマがあった。

昨日今日でできたクマというよりも、長年の積み重ねで作られたようなクマに見える。

黒縁の眼鏡をかけていたせいで、気が付かなかった。

よく見ると顔も痩せこけているし、どことなく顔色もよくない気がする。

私はそれ以上何も聞かなかったが、背筋に冷たいものを感じずにはいられなかった。

終わり

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