アニメのビデオに映った女

「ねえ、あつし覚えてる?」

実家に帰ってきた姉が、俺に聞いてきた。

「何を?」

「もう20年位前かな。」

姉が語り始めたことは、俺の想像とかけ離れたことだった。

だが、言われてみるとだんだんと思い出してくる。

うん、確かにそんなことがあった。

俺と姉は当時、おかしな経験をしたのだ。

俺がまだ5歳かそこらのころ。

姉と一緒にビデオを見ようとした。

なんのビデオだったのかは覚えていない。

アニメのビデオか何かだと思う。

姉がビデオをデッキに入れて、テープを再生した。

すると、大人の女の死体のようなものが映っていた。

頭から血を流した女が倒れている。

俺と姉は顔を見合わせた。

「な、なにこれ?」

声は震えていた。

たぶんテープを間違えたのだ。

だが、10秒もするとすぐにお目当てのアニメの映像が流れだした。

俺と姉は怖かったが、巻き戻ししてみた。

今見た映像を確認するためだ。

しかし、今の今見たはずの女の死体の映像は影も形もなくなっていた。

テープの最初から、お目当てのアニメしか映っていないのだ。

そのときになり俺は恐怖に襲われ、泣き出した。

姉も顔面蒼白になっていた。

・・・・なんでこんな衝撃的なことを忘れていたのだろうか。

人はあまりに怖いことがあると自己防衛のために記憶を消すというが、あながち嘘でもないのかもしれない。

あの怪現象から20年が経過し、姉が言った。

「あのときの映像覚えてる?」

「ああ、もちろん。」

「じゃあ、どんな女性が倒れていたのか覚えてる?」

「うーん。そこまではちょっと・・・」

「私さ。実は結構鮮明に覚えてるんだ。」

「うん。それで?」

「それでね。最近、私怖いんだ。」

「怖いって何が?」

「頭から血を流して、倒れていた大人の女性。最近、私。あの女性に似てきてるんだよ・・・・自分がもうすぐあの姿で死ぬような気がして、怖いよ・・・・」


この話は最近、管理人がある男性(仮名:あつしさん)から聞いた実話。

聞いた瞬間、ゾッとした。

ちなみに、文章はあつしさん視点で管理人が作ったもの。

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