深夜に訪ねてきた隣人

男性から聞いた話です。

その男性は、当時30代でアパートの一室に一人暮らしをしていました。

ある晩のこと。

男性が眠っていると、何かの物音が聞こえました。

コン、コン

コン、コン

眠かったため無視していたのですが、音はおさまる気配がありません。

コン、コン

コン、コン

仕方がないので、眠い目をこすりながら起き上がり時計を見ました。

深夜2時半。

「なんだよ。こんな時間に。」

どうやら、誰かが男性の部屋の扉を叩いているようなのです。

深夜に人が訪ねてくるなんて、心当たりは全くありません。

当然、そんなことは初めてのことです。

恐くないと言えばウソになるでしょう。

インターホンを鳴らさずに、ドアをノックしているというのも非常に不気味なことでした。

男性は戦々恐々としながらも、ドア越しに尋ねます。

「どちら様ですか?」

ドアの外からは返事が返ってきました。

「あの、隣に住んでいる斉藤ですが。」

お隣さん?

はて?

お隣さんが何の用だ?

男性は近所付き合いはしておらず、隣にどんな人が住んでいるのかということすら知りません。

男性は尋ねます。

「お隣さんが何の用でしょう?」

「・・・あの、隣に住んでいる斉藤ですが。」

わかったよ、それは。

「だから、何の用ですか?こんな夜中に訪ねてくる理由があるんですか?」

「あの、隣に住んでいる斉藤ですが。」

・・・ここにきて、男性は突然凄まじい恐怖に襲われました。

ドアの外の人物と、会話をしてはいけない。

そう思ったのです。

男性は、すぐにベッドに引き返し、布団をかぶって寝てしまうことにしました。

なかなか寝付けません。

コン、コン

コン、コン

部屋のノックは続いています。

止めてくれ、帰ってくれ。

男性は心の中で、そう願い続けました。

・・・・その後、一カ月以上経ってからわかったことなのですが。

男性の隣の部屋の住人は、自室で自殺をしていたことが発覚しました。

男性がそのことを知ったのは、大家さんと警察が家に訪ねてきたときでした。

警察は質問してくるばかりで、詳しいことは何も教えてくれませんでした。

そこで男性は大家さんに話を聞きました。

大家さんも隣の「斉藤さん」がいつ亡くなったのかということは詳しくは知らないとのことでした。

ですが、死亡推定日時はおそらくあの晩(男性の家に斉藤さんが訪ねてきた晩)より前だったのではないかと考えられているようです。

後に、男性は言っていました。

「お隣さんは、自分の遺体を早く見つけてほしくて僕の部屋に来たのではないですかね?そんな気がしてなりません。」

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