不思議な老人「孤独」

これは、僕が学生のころの話です。

当時、ピザ屋のデリバリー(宅配)のバイトをしていました。

ある日のこと。

ピザの注文を受け、僕が配達に行くことになりました。

そこは初めて行く場所で、入り組んだ道にあるお家でした。

少しわかりにくいんです。

お家は、古びた一軒家といえばイメージできますでしょうか。

扉は昔ながらの、ガラガラと横に引くタイプです。

僕は、その家の前にバイクを停めると、インターホンを鳴らします。

ピンポーン

・・・・・・・・・・・

応答がありません。

もう一度、鳴らします。

ピンポーン

・・・・・・・・・・・・

やはり、応答がありません。

「すみませーん。ご注文のピザをお届けに参りました!」

声をかけてみても反応がありません。

デリバリーをやっていて、実は一番困ることの1つがこれなのです。

注文を受けてから、待たせすぎてしまった場合こういうこともあるのですが、今回はほとんど待たせていません。

住所も名前も間違えてないはずです。

何度確認してもあっています。

僕は、扉に手をかけてみました。

ガラ

開いているようです。

鍵はかかっていませんでした。

「失礼しまーす。ご注文のピザお届けに参りました。」

僕は声をかけると、玄関の中を覗きます。

薄暗い玄関。

廊下の奥に部屋があるようでした。

やはり、反応がないので、もう一度大きめの声を出します。

「すみませーーん!ピザ屋でーす!(わかりやすくこう書いただけで本当は店の名前を言いました)」

すると、奥の部屋からおじいさんと思われる声で返事がありました。

「どうぞー。中まで持ってきてください。」

僕はやっと理解できました。

ご老人だから耳が遠いのでしょう。

言われた通り、お邪魔することにしました。

「失礼します。」

靴を脱ぐと、奥の部屋まで廊下を歩きます。

中に入ると、余計に薄暗いのが気になります。

部屋は曇りガラスのような古びた引き戸。

ガラガラ

扉を開けます。

少し散らかった部屋の奥に、布団が敷いてあり、老人が眠っているようです。

おじいちゃん、寝ちゃったのでしょうか。

「あのー、ピザどこ置きますか?」

またもや、反応がありません。

そばの古びた日本風なテーブルがあります。

上には、湯飲みやら新聞やらが置いてあるので、それらを軽くどかすと、その上にピザを置きました。

「あの、すみません。お会計が○○円です。」

やはり反応がありません。

「あの、おじいちゃん?起きてもらってもいいですか?お会計・・・・・」

僕は老人に近づいてみて、異変に気がつきました。

老人の顔色があまりに悪いのです。

「おじいちゃん大丈夫ですか?」

慌てて、老人のそばまで行くと軽くゆすってみます。

そして触ってみると、どうにもおかしいのです。

おもちゃのように、動かないのです。

このとき、少なからず恐怖を感じていました。

怖いながらも、僕は老人の脈を取ります。

・・・・・・・・やっぱりです。

おじいちゃんの脈はなかったのです。

僕は、すぐに救急とバイト先に連絡を入れました。

室内で待っているのが怖かったので、外に出て救急を待つことにしました。

・・・・・・・・・・・・・

その後わかったのですが、老人はやはり亡くなっていたそうです。

おじいちゃんに家族はいなかったようで、孤独死と言うやつです。

ただ、ここからが不思議な話なのです。

僕が発見した時点で、その老人は孤独死してから、2日以上経過しているのだといいます。

これは、どう考えてもおかしいのです。

不思議な点はいくつもあるが、、、まず、誰がピザの注文をしたのかということです。

さらに、僕はこの耳で聞いているんです。

「どうぞー。中まで持ってきてください。」

という、老人の声を。

もしかすると、あのおじいちゃんは孤独死をしている自分を誰かに見つけてもらいたかったのかもしれません・・・・

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