呪われた中古のウィッグ

ある女性が以前に体験した話。

その女性を仮に、響子さんとしておこう。

響子さんは、イメチェンを考えていた。

髪形を変えようか、でも今のロングにするために年単位で髪を伸ばしてきたし、これを切るともったいないよなー、と。

そんなある日のこと。

たまたま通りかかったリサイクルショップのショーウインドウに、可愛いウィッグ(かつら)が展示されているのを発見した。

ウィッグを見た瞬間に、「あ、これだ!」と思った。

でも、こういうものは付けてみて似合うかどうかが大切だ。

響子さんは、店内に入ると店員さんに試着していいかどうか尋ねてみた。

「どうぞー。」

快く承諾してくれる店員さん。

早速試着してみた。

・・・・良い!

すごく良い!

鏡越しに映る自分の姿に酔いしれてしまいそうなくらい、気に入った。

価格もお手ごろだったため、即購入する。

とても良い買い物ができたことに大満足の響子さんだった。

しかし・・・・

気のせいなのだろうか。

そのウィッグを付けている日は、どうにも息が苦しい気がするのだ。

どう表現すれば良いのだろう。

マスクを3重に付けて生活しているような感覚といえば伝わるだろうか。

自分の周りだけ酸素が薄くなったかのような感覚だ。

でも、響子さんは気のせいだと思っていた。

まさか、自分の買ったウィッグが「呪われている」なんて考えもしなかった。

でも、1つだけ気がついてしまったことがあった。

それは、自分の息が苦しいのは例のウィッグを装着している日だけだったということを。

ためしに、持っていた他のウィッグを付けて生活してみる。

まったく、苦しくならない。

でも、リサイクルショップで買ったものを付けた日だけは、どうにも苦しい。

そのことに気がついてからというもの、例のウィッグを付けることはなくなった。

気に入っていたため残念だったが、仕方がない。

それ以来、息苦しさとは無縁の生活に戻れた。

ある日のこと。

響子さんが外出先から自宅の部屋に戻り、部屋の電気を付けると、例のウィッグが床に落ちていた。

何かの衝撃で落ちたのかと、まったく気にも留めなかった。

次の日。

帰宅してみると、やはり例のウィッグだけが床に落ちていた。

今度は、昨日よりも位置が遠くに落ちていた。

それからというもの、毎日毎日、響子さんが帰宅するたびにウィッグが床に落ちていた。

しかも、日に日に落ちている位置が移動していた。

まるで、髪の毛が動いているかのように。

さらに、数日後。

ついに響子さんは見てしまったのだった。

部屋のドアをバッと開けてみると、例のウィッグが芋虫のように、地面を這いつくばって動いていたのだ。

背筋が凍りつき悲鳴を上げた。

普通に考えれば、ネズミのような小さな生き物がウィッグの下にいて、動いてしまったと考えるの自然だろう。

響子さんは、勇気を振り絞ってウィッグを拾い上げた。

でも、下には何もいなかった。

あまりに不気味で、そのままそのウィッグは処分した。

これに、何かの呪いがかけられていたのかどうかはわからない。

ただ1つだけ言えるのは、中古品というものは、前に使っていた人の念が少なからず残っているかもしれないのだ。

その人が、もしも不幸な死を遂げていたとしたら、その念が愛用品に移ってしまっていても不思議ではないのかもしれない・・・・

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