深夜の公園にいた女の子

数年前に体験した話。

当時俺は、付き合っていた彼女と別れて精神的に病んでしまっていた。

ある日突然、彼女にフラれてしまったのだ。

フラれた当日は、とにかく酒を煽った。

次の日もボロボロで、まるで生きる屍のようだったと思う。

朝起きても何もやる気が起きず、ただひたすら下を向いて自分を責めた。

夜になっても、その状態は続いた。

何もやる気がおきないのに、何かしないといけないのではないかという強迫観念もあった。

今何かをすれば、彼女とよりを戻せると思っていたのかもしれない。

でも、何をしていいのかが分からない。

俺は、部屋を出ると深夜の道を夢遊病のように歩き続けた。

なぜ外に出て歩いたのか、自分でもよく分からない。

外の空気が吸いたかったのかもしれないし、家に居続けることに嫌気がさしたのかもしれない。

しばらく歩き続けた俺は、見たこともない公園の前にいた。

そのまま、吸い込まれるように公園の中に入り、目に付いたベンチに座った。

なぜ、俺は彼女と別れてしまったのだろう・・・・

ふと見ると、公園の砂場に一人の女の子がいた。

砂のお山を作って遊んでいるようだ。

6歳くらいだろうか。

よく考えれば、それは絶対におかしいことだと思える。

正確な時刻は分からないが、おそらく夜の11時は回っていたように記憶している。

だが、まったく頭の回らない俺は、女の子のことはまったく気にならなかった。

ただ、ベンチに座り、下を向いて悲しみにくれていたのだ。

ふと顔をあげると、さっきよりも砂場が近くにきている気がした。

気のせいだろう。

俺は、また下を向いた。

顔を上げると、さっきよりも砂場が近くに感じる。

さっきは砂場で遊ぶ女の子の髪型などは見えないくらい離れていたはずだ。

だが、今ははっきり見える。

もう一度下を向いた俺。

今度は、10秒ほどで顔を上げる。

砂場は、さっきよりも確実に近づいていた。

もう女の子の横顔がはっきりと確認できる。

落ち込んで頭の回っていない俺も、さすがにこれが普通のことではないと理解できた。

そして、背中に冷たいものがツーっと流れていくのを感じた。

この公園の中にいては危険だ。

俺は、立ち上がり早歩きで公園の外に出た。

後ろは振り向かない。

振り向いたら最後、砂場に飲み込まれてしまうのではないかという恐怖に襲われていたのだ。

いつの間にか、俺は走り出していた。

・・・・・・・気がつくと、自宅の前にいた。

どうやって走ったのか覚えていない。

ただ、息だけが激しく上がっていた。

次の朝。

気になった俺は、昨日の公園を昼間に探してみることにした。

ただ、道を忘れてしまったため、探し出すのに3時間以上かかってしまった。

ようやく昨日の夜に俺が来た公園を発見した。

中に入って、俺は絶句した。

その公園には、砂場がなかったのだ・・・・

あの女の子は、いったいなんだったのだろうか・・・・

失恋し、落ち込んでいた俺を励ますつもりだったのだろうか。

いいや、まさか。

だとすると・・・・?

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