虫の知らせ

女性から聞いたお話です。


私が小学校4年生の頃、母方の祖父が亡くなりました。このお話は、祖父が亡くなったであろう日、従妹に起きた出来事です。

その日、私の従妹(当時4歳、以降Mとして登場)は、近くのショッピングモールに、母親と3つ年上の姉と買い物に来ていたそうです。楽しみにしていた、お菓子やおもちゃを買ってもらったMは上機嫌でした。

ひとしきり買い物を終え、屋上の駐車場まで移動する為に3人で仲良くエスカレーターに向かっていました。すると、先程まで楽しそうに話をしていたMが急に黙り込んでしまいました。

母親は気分が悪くなったのかと思い、Mに話しかけますが応答がありません。心配になり、顔を覗き込むと顔色が真っ青になっていました。目に見えて体調が悪そうな我が子を見て、“これはいけない”と思い、すぐに抱きかかえて病院に連れて行こうとしましたが、体調が悪いはずのMが急に店内を走り回りだしたのです。

母親は買い物をした荷物を放り投げて、上の娘と一緒になってMを追いかけました。Mは焦点の合っていない目で走りながら、聞き取れない言葉や奇声を発していたそうです。周りにいた大人達からは“知的障害のある子供が暴れまわっている”と思われていた事でしょう。

しばらく店内を走り回った後、Mがピタッと立ち止まりました。するとそのまま嘔吐をし、ペタンと床に座り込んでしまったのです。

すると、どうでしょう。先ほどまで暴れまわって別人のような行動を取っていたMが正気を取り戻し、顔色も健康的な色に戻っていたのです。当の本人は先程まで自分がどんな行動をとっていたのか、全く覚えていないようでケロッとした様子でした。

その後、Mを病院に連れていくも特に異常はなく、念の為に点滴をしてもらい自宅へと返されました。

それからしばらく経ったある日、従妹のもとに祖父が亡くなったとの連絡が入りました。死因は自殺で、死後数週間経過している事が判明しました。警察が解剖をして推測された死亡日である“その日”は、まさにMがおかしな行動をとった“あの日”だったのです。

大切な人が亡くなると「虫の知らせ」なるものがあると言います。死んでしまった事を直接誰かから知らされた訳でもないのに、身の回りで不吉な予感や出来事が起こる事です。

私達家族は、Mの身に起こった出来事が祖父からの「虫の知らせ」だったのではないかと思っています。

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