川遊びの際はご注意を

女性のお話です。


水辺には霊が集まりやすいと言われています。もちろん科学的根拠はありませんが、古今東西「水」にまつわる怖い話は挙げるとキリがないほどたくさんあります。

私の兄が子供の頃に遭った恐怖体験も、やはり水があるところで起きたものでした。

兄が幼稚園の年長さんくらいの頃です。夏休みに家族で川遊びに行きました。

M県のとある川は、流れも穏やかで浅すぎず深すぎず、魚も一部ではそこそこ泳いでいるという、川遊びに非常に向ているレジャースポットでした。

母とまだ小さかった私は川辺で石拾いをして遊んだり、バーベキューの準備をしたりしていましたが、父と兄は早々に水着に着替えて川に飛び込んで遊んでいました。

父も一緒に川に入っていたのは、兄がまだ幼稚園児だからというだけでなく、この川は流れが穏やかなのに何故か子供が溺れてしまう事故があると聞いていたからだと言います。

しばらくは父も一緒になってダイナミックな遊びを楽しんでいましたが、途中で休憩がてら煙草を吸いに行くと言って川から上がってしまいました。

煙草を吸う5分くらいの時間だし、遠くへ行くなと言い聞かせてあるから大丈夫だろうと思ったようです。

兄は言いつけ通り、父が見える範囲で遊んでいました。

流れに逆らうように潜って遊んでいると、何かが足に触れました。

岩かな?それとも他の人にぶつかったかな?

水から顔を上げて周りを見ても、兄から近い場所には誰もいません。岩のようなものもありませんでした。

変だな、と思いながらもまた潜って泳いでいると、何かが足首を掴みました。

驚いてそのまま振り返ると、自分よりも少し年上くらい(小学校中学年くらい)の男の子が兄の足を掴んでいたのです。

その男の子は水着ではなく、普段着のままでした。

兄は驚いて思わず水中で口を開けてしまい、ゴボゴボと空気を逃してしまいました。

離せと足をバタつかせ暴れますが、男の子は瞬きもせずに冷たい手で足首を掴んで離しません。

溺れてしまう…!

そう思った瞬間、兄は両腕を引っ張られ水中から引き上げられました。父と見知らぬおじさんが助けてくれたのです。

特に大きな怪我などは無かったそうですが、兄の足首にはくっきりと掴まれたような青あざが残っていたそうです。そして、兄が溺れた場所には兄以外誰もいなかったと…

「誰かに足を掴まれた」と言っても、誰も信じてはくれなかったようですが、大人になってから機会があって古い地方新聞を読み漁っていたら、ある事故の記事を見つけました。

「俺たちが生まれるよりもずっと前にあの川で溺れて亡くなった子がいたらしい。俺の足を掴んだのは、きっとその子だ」

兄はそう確信しています。

私に子供が生まれ伯父さんになった兄ですが、夏が近づくと「川遊びだけは絶対にするな」と口酸っぱく忠告して来ます。

川遊びの際はご注意を……

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