暗い夜道で体験した怖い話 蛍

管理人が、聞いた話。


俺は人生で一度だけ、幽霊を見たことがある。

果たしてあれが幽霊だったのかどうかの自信はない。

だが、とても怖い思いをしたことは確かだ。

あれは、俺が小学校5年生のころ。

夏休みに、近所の神社で蛍をくれるというイベントが開催された。

東京に住んでいるほとんどの小学生は、蛍を見たことがない。

俺もその日初めて蛍を見た。

とても興奮したものだ。

小さな虫かごに入った蛍を、神社で貰う。

小学生だからその後夜遊びするということもない。

仲の良かった友達数人と、ぺちゃくちゃ話しながら帰路についた。

最初は5~6人いた友達も、歩く距離が増えるにつれて、1人帰り2人帰り、だんだんと減っていった。

自宅のそばまで来たときは、俺と一人の友達だけになっていた。

よく覚えていないが、確か時刻は8時過ぎだったと思う。

住んでいるのは東京なのだが、郊外だったため、薄暗い道が多い。

一緒にいた友達が俺にお願いしてきた。

「ねえ、○ちゃん。うちの前まで送ってくれない?この辺、薄暗くて怖いんだよ。俺一人で帰れねえよ。」

その友達の家の周辺は特に暗く、本当に「出そう」な雰囲気が漂っていた。

正直言って、俺だってめちゃくちゃ怖い。

断ろうと思った瞬間、友達にこう付け足された。

「○ちゃんは、俺と違って強いから、こんな暗さへっちゃらでしょ?」

そう、俺は当時仲間内で喧嘩が強いキャラだった。

自分のイメージを守りたかったのか、俺は答えてしまった。

「ああ、いいよ。こんな暗さ、全然怖くないから。」

止めとけばいいのに、強がってしまったのだ。

こうして俺は友達を家の前まで送ることになった。

送っていくのは怖くない。

友達と二人だからだ。

怖いのは、一人の帰り道だ。

友達の家から俺の家までは、距離にして500メートルもないと思う。

だが、当時は本当に恐ろしさを感じるくらい薄暗い道だったのだ。(現在は、街灯も増え明るくなっているが、俺の子供の頃は酷かった)

俺は小走りに帰路を急いだ。

それでも、途中で怖くなってしまった。

俺は手に持っていた蛍に心の中で助けを求めた。

「暗い道をお前の明かりで照らしてよ。」

そして、ふと虫かごを見た。

暗いから虫かごの中も見にくい。

蛍は今、光ってないようだ。

かごに顔を近づけて中の蛍を探してみると・・・・そこには、人間の目玉が入っていたのだ。

目玉が二つ、ゴロっと転がっていた。

全身に鳥肌を感じた。

俺は、瞬間的に虫かごを放り出して、走った。

多分、泣いていたと思う。

走って走って、気が付いたときには家に辿り着いていた。

足がガクガク震えていた。

親にも、「なにかあったのか?」と驚かれた。

交通事故や不審者の類いを心配したらしい。

蛍をもらいに行ったはずの息子が、蛍を持たずに泣きながら帰ってきたのだ。

心配して当然だろう。

大人になってから思うと、もしかすると恐怖心が生み出した幻だったのかもしれない。

だが、はっきり見えたのだ。

虫かごの中の二つの転がる目玉を。

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