Aから聞いた怖い話。
Aが友達のBとバイクの二人乗りをしてたときのこと。
あまり街灯のない田舎道だ。
小雨も降り出し、辺りは暗くなかなか運転に気を使う。
視界が良くない中のバイクの運転は、それだけで怖いものなのだ。
後ろに乗っているBに対し、大声で言った。
「あい、しっかり掴まっておけよ。」
前方には、信号機。
赤なので停止する。
バイクは信号待ちで止まっていると、どこからともなく女の人の歌う声が聞こえてきた。
なんだ。
どこで、歌ってるんだ。
後ろを振り返ってみると、バイクの後ろ20メートルのところに女が立っていた。
歌声はこの女のものか、と納得する。
この雨の中、傘もささずに歌ってるなんてのんきな女だ、と思ったそうだ。
だが、次の瞬間。
Aは信号無視でバイクを急発車させた。
後ろでは、Bが叫ぶ。
「おい、危ないだろー。」
Bの言葉は無視した。
しばらくしてから停車したが、Bは怒っていた。
「なんなんだよ。あんな無謀な運転するなよ。雨で滑りやすくなってるんだ。事故でも起こしたらどうするつもりだ!」
Bの言葉を、Aはしばらく無視していた。
だが、少しするとおもむろに口を開いた。
「・・・・・歌うたっていた女見たか?」
「なんだよ?女?ああ、チラッと見たけど。それが何だよ?」
「あの女な。俺もチラッと見たときは気がつかなかったけどな。よく見ると、頭パックリ割れてたんだ・・・・」
「・・・・・え?・・・・」
「あの頭の割れ方では、生きてはいない。ありゃ、幽霊だ・・・・・」
二人とも、顔面蒼白だったという。
終わり