山小屋の窓から覗くマッドピエロ3

前回→山小屋の窓から覗くマッドピエロ2  (→1話から読む)

冷静になって考えてみれば、窓ガラスを壊さずに外から鍵を開けるのは困難だ。

でも、このときはそんな冷静な判断力など失われていた。

俺たちは、先ほどのソファーの部屋に戻った。

何度も辺りをキョロキョロ見渡して、落ち着かない状態になっていた。

警察に連絡すべきか。

いいや。

窓の外にピエロがいただけだ。

別に脅迫されたわけでもない、警察に通報するのは大袈裟だ。

だがしかし、ピエロの格好なんて普通じゃない。

いいや。

そうでもないかもしれない。

近隣にピエロを職業にしてる人がいるんだよ・・・

そうだ、近隣にピエロが住んでいてるんだ。

それで、普段電気の点いていないこの家に明かりが灯っているから、中を確認しただけだ。

そうに決まっている。

でも、この辺りに人は住んでいるのか。

「なあ、この辺りに人って住んでるのか?」

俺は疑問を口にした。

「さあ。この辺のことは、全く知らないけど・・・立地的に毎日生活するには不便だし。たぶん、住んでない気がする・・・」

「そ、そうだよな・・・」

また、二人で黙り込んだ。

黙ったままでも、二人の視線はキョロキョロと動いていた。

本当はこんなとき、楽しくおしゃべりすればいいのかもしれない。

だが、俺たちは二人とも、何かしらの物音を聞きのがしたくなかったのだと思う。

ガラスの割れる音や、家の中を誰かが歩く音など、聞き逃したら致命的だ。

身に危険が及ぶのを避けるために、神経を集中していたのだと思う。

そのとき、玄関の扉を誰かが叩いた。

ドンドンドンドン

俺と友達は互いに、顔を見合わせた。

恐怖に引きつった顔でこちらを見ている友達。

きっと俺も全く同じ顔をしていたことだろう。

ドンドンドンドン

俺たちは視線を、玄関扉の鍵に集中した。

よし、施錠はされている。

だが、不安で仕方ない。

こんな扉、大人が壊そうと思えば、簡単に壊れるだろう。

ドンドンドンドンドンドンドン・・・・

扉の叩き方が、普通ではない。

「け、警察だ・・・警察に通報しよう。」

友達が、顔面蒼白になって訴えた。

俺は無言でうなずくと、携帯を手に取った。

その時になって思い出す。

そうだ・・・

ここは、電波が通じない場所なのだ。

一気に、絶望と恐怖が増してきた。

ドンドンドンドンドンドンドンドン

耳を塞ぎたい。

俺は、震える足でウロウロ部屋を彷徨いながら、電波が届く場所を探した。

続き→山小屋の窓から覗くマッドピエロ4

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