「うわあぁぁぁーーーー!」
思わず叫んでしまった。
「どうした?」
焦った顔で友達が聞いてきた。
俺はすぐに返事が出来なかった。
だが、俺の視線に気が付いた友達も窓に目を向けて、声を出した。
「うわっ・・・」
窓の外のピエロは身を隠した。
俺たちは、窓に近づけなくなってしまった。
得体の知れない恐怖があったのだ。
うまく言葉にできない。
足が震え、何もできない状態。
「お、おい・・・今の何だ?」
やっとのことで、友達が聞いてきた。
「・・・知るかよ。お、お前の親戚の人じゃないのか?」
「バカ言うな・・・あんなふざけた格好の親戚がどこにいるよ・・・」
「じゃあ・・・・」
じゃあ、一体今のは誰なんだ。
そう言葉にしようとして、止まってしまった。
分かりきっていた。
さっきのピエロは、俺たちの全く知らない奴なのだ。
でも、それを言葉にしてしまうと、さらなる恐怖に襲われてしまう気がしたのだ。
1分ほどだろうか。
2分くらい経ったか。
いや、もっとだろうか。
しばらく沈黙していたが、先に俺が口を開いた。
気が付いたことがあったのだ。
「なあ?戸締りしてあるよな?」
「・・・!?すぐに確認しよう!」
確か、さっき掃除した時に、俺は鍵をかけたはずだ。
でも、友達がカギをかけてなかったら。
いいや、俺だって怪しいものだった。
絶対に鍵をかけたとは言い切れない。
本当は二人手分けして鍵の確認をすればいいものを、俺たちは一緒に鍵の確認をしに家中を回った。
大方見て回り、きちんと施錠はされていたことに安心した。
だが、一か所だけ鍵のかかっていない窓を発見してしまった・・・
ここを掃除したのはどっちだ・・・
俺ではないはずだ。
「ここ、お前(が掃除した部屋)だろ?」
少し強めの口調で、友達に言った。
「・・・ああ、まあ・・・俺か。でも、鍵かけた気がしたんだけどな・・・」
「え?鍵かけたのか?気のせいじゃなくて、鍵はかけたのか?」
「ううーん?いや、かけたようなかけてないような・・・悪い、覚えてないわ。」
「思い出せよ!大事なことなんだ!」
とても大事なことだった。
もしも鍵をさっきかけていたのに今開いているなら、それは誰かが開けたということになる。
もしも、そうであるのなら、さっきのピエロが家の中に侵入している可能性だってあるのだ。
俺は、今にもクローゼットの中からピエロが飛び出してくるような気がしてきた。
それはとてつもない恐怖だった。