小学生夏休みの恐怖 家出と怪人

小学校の頃の話。

当時、実家の近所に建設途中のまま放置されているビルがあった。

ビルと言っても6~7階建てで、それほど大きな建物ではなかった。

部屋数はそれなりに多く、昼間は近所の子供たちの遊び場と化していた。

一応は立ち入り禁止ということになっていたのだが、子供でも簡単に入ることができたのだ。

俺たちは、そのビル内に忍び込むのがとても好きだった。

たぶん、「大人に言えない悪いこと」をしている感覚が楽しかったのだ。

ビル内に忍び込んでやることと言っても、駄菓子を持ち込んで食べたり、かくれんぼや鬼ごっこをしたりとその程度だった。

それでも、他では味わえない背徳感というか、罪悪感が心のどこかにあったのか、十分な冒険ができた。

そんな大好きな場所に、俺たちが寄り付かなくなる事件があったのだ。

それは、小学5年の夏休みのことだった。

俺たちは仲の良かった仲間達8人で、ある悪巧みを計画していた。

悪だくみと言うのは、みんなで家出をしようという計画だった。

本格的な家出と言うよりもプチ家出になるのだろう。

一晩だけ家に帰らずに遊んで過ごそうという子供の発想だ。

もちろん、小学生が8人も家に帰らなければ、各々の家族が心配してしまうだろう。

下手をすれば警察に届けを出されて、オオゴトになりかねない。

もしそうなってしまえば、怒られるなんてもんじゃないことは想像にかたくない・・・

たかが家出で怒られるのはごめんだ。

俺たちは、「友達の家に泊まるから」と適当な理由をつけて家を抜け出すことにしていた。

理由がなと許可がもらえないのだ。

それでも、家出当日にドタキャンしてきた友人が2名いた。

「友達の家に泊まる」と家族に言ったところ「誰の家?後で、お礼しなくちゃ」的な流れになってしまったそうだ。

きっとそれは、当然の流れかもしれない。

残りの6人は2人を責めようとしなかった。

家出のメンバーは2人も減ってしまった。

6人で向かった先は、例の建設中のまま放置されたビルだ。

各自、懐中電灯やら駄菓子やらコンビニのおにぎりやジュースを持ち込み、ピクニックと冒険を同時に行うような気分になっていた。

もしかすると、小学校の修学旅行よりもワクワクしていたかもしれない。

ワクワクドキドキしながら、俺たちは散々はしゃいだ。

走り回ったり、好きな女子の話をしたり、「やっぱ、女も誘えばよかったな」などませたことことを言ったりした。

散々遊び、お菓子やおにぎりをたらふく食べ、俺たちは少し疲れてきていた。

時刻は確か22時ころだった気がする。

誰ともなしに、そろそろ寝るかと言いだしていた。

家出をすると言っても、皆10~11歳のお子様たちだ。

22時にでもなれば、もう瞼は自然と閉じかけてくるのだ。

懐中電灯も消し、床にゴロンと横になり、いつの間にか夢の中へと落ちてゆく。

・・・どれくらい経っただろう。

その場にいた友人の誰かが言った。

「おい。みんな起きろ!誰か来るぞ!」

小声だったが、その声には恐怖の色が含まれており、皆はパッと目を覚ましたようだった。

懐中電灯をつけた奴を、俺が静止した。

「バカ!(俺たちの存在が)ばれるだろ!」

そう言いながら俺は、腕や脚を掻いた。

どうやら、寝ている間に蚊に刺されたようだ。

でも、今は痒みを気にしてはいられなかった。

誰ががこちらに向かってきていたのだ。

コツン、コツン

足音が廊下に響いていた・・・

続き→小学生夏休みの恐怖 家出と怪人2

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