この話は、管理人がある人から相談された内容です。
当人の許可を得て記事にしていますが、非常に不気味で怖い話だと思います。
その男性。
仮にAさんとしておこう。
ある日の深夜。
自室アパートで、扉がボンっと鳴った。
次の瞬間。
部屋の床の上を、仰向けでズルズルと引きずられるような格好の女が見えた。
なんだろう。
・・・・心霊現象だろうか。
その日を境に、おかしな出来事が始まった。
Aさんは、何度も下半身のない女を目撃したのだ。
その女のことは、Aさんにしか見えないようだった。
場所も、自分の部屋でだけではなかった。
喫茶店のテーブルの下。
駅のトイレ。
会社の受付横。
行く先々で、女は現れた。
・・・・実は、Aさんには覚えがあった。
あの女、確か昔に見たことがあるのだ。
女の姿を目撃したころから、Aさんの中の古い記憶が蘇りつつあった。
幼いころだった。
おそらく5歳か6歳だろう。
A少年は、近所のお寺の庭に一人でいた。
記憶によれば、泣きながらお寺にいたという。
そのお寺の敷地は広い。
庭のような作りで誰でも入れる場所なのだが、A少年がなぜお寺に一人でいたのかは分からない。
そして、なぜ泣いていたのかも覚えていないという。
ただ、泣いているA少年の横には、若くてきれいなお姉さんがいた。
お姉さんはAさんに頼み事をしてきた。
「この岩をどけてほしいの。」
子供のAさんに、岩をどける力はない。
言われた通り頑張ってみたけれど、岩はピクリともしなかった。
それでも、試行錯誤して頑張るA少年。
側にあった鉄の棒の使って、なんとか少しだけ岩を動かすことに成功した。
偶然、てこの原理が働いたのだろう。
さらに、その少し前に大きめの地震があった。
もしかすると、地震で岩が動きやすくなっていたのかもしれない。
その後。
A少年は、普通じゃないモノを見るようになる。
突然目の前に、下半身のない女が出現するのだ。
それを両親に伝えると、血相を変えて怯えだした。
なにやらいろんな大人たちに会わせられ、お経を唱えさせられたり、神殿のような場所に連れていかれた記憶があった。
そして、大人たちが精一杯頑張ってくれた後に「これで30年は持つだろう。」という言葉を聞いたような記憶があるのだ。
それから、25年が経過した。
最近になり、また下半身のない女が現れ始めたのだ。
実家に住む年老いた両親に、このことを伝えると、急に顔色が変わったそうだ。
そして、言われた。
「な、何を・・・何を、言っているのか分からない。」
Aさんはいったい、何に憑かれているというのだろう。
下半身のない女は何者なのだろうか。
未だに毎日のように出現し続け、Aさんは日に日に参ってしまっている・・・・
終わり