レストランの怪談 悲劇が生んだ女性の恨み

管理人の私が、ある大学生の男の子から聞いた話。

その男の子を仮に、健太くんとしておこう。

健太くんは、とあるレストランで働いていた。

あるとき、レストランに頻繁に来てくれるお客さんと仲良くなった。

とても綺麗な女性だった。

その女性を、幸子さんとしておく。

ある日のこと。

健太くんは、バイト帰りに幸子さんと道で偶然会った。

そして、途中まで一緒に歩いた。

幸子さんに惹かれていた健太くんは、なんとか話を長引かせたかった。

だから、こんな話を振ってみた。

「今度サークル友達の間で、百物語やろうかって話があるんですよ。幸子さん、なにか怖い話知りませんか?」

「怖い話かー。そうだなー・・・実話でもいいの?」

「実話なんて最高じゃないですか。それください!」

怖い話のことよりも、幸子さんと長く話せることが嬉しかった。

ただ。

幸子さんが話してくれた怪談は、リアルなようで作り物みたいな物語だったのだ。

最初こそ、何となく陳腐にすら感じたという。

話の内容はというと。

あるとき、一人暮らしの女の人が住んでいたアパートに、強盗が侵入した。

強盗はお金をとるだけではなく、女の人を強姦までした。

女の人は強盗の隙を見て逃げ出そうとした。

だが、男に捕まりナイフで左の脇腹を刺されてしまった。

男は、女性をナイフで刺したときに声をあげて笑っていたという。

そのまま、男は逃走した。

女の人は、苦しみの中で助けを求めた。

だが、声もろくに出ない状態で、誰も助けに来てはくれない。

110番や119番をしたくても、身体の自由は利かない。

出血多量で息を引き取るまでには時間がかかった。

その間、自分を襲った男への恨みの念を持ち続けたという。

ただ、男は帽子とマスクを着用していて、顔がよく分からなかったのだとか。

分かっていたのは、犯人は20歳前後の若い男性で左頬にホクロがあることだった。

また、目はつり目がちであったこともわかっていた。

手がかりは、それだけなのだという。

幸子さんは、自分の左わき腹をさすりながら続けた。

「その時のお腹の傷が・・・・今も痛むのよ。」

健太くんは、現在21歳。

左頬にホクロがあり、つり目がちだった。

ゾッとしながらも聞いてみた・・・・

「犯人・・・捕まったんですか?」

「ううん、犯人は捕まらずじまい。その女性はね。犯人らしき人物をやっと発見したんだよ。でもね、話してみてわかった。どうやら、違うみたい。あの犯人の匂いじゃないのよ。」

そう言って幸子さんは、健太くんの近くに来ると鼻から息を吸い込んでいた。

「うん、やっぱり違う。」

健太くんは冗談だとは分かりつつも、終始鳥肌が収まらなかった。

「でも、その話。実話だとすると、おかしくないですか? だって、女の人が死んでしまったのなら、犯人の特徴なんか分かるはずないじゃないですか。」

「確かに、そうだね。じゃあ、この話は作り話かもしれないね。」

幸子さんは、微笑みながら自分の左わき腹をさすっていた。

その後、幸子さんがレストラン来ることはなかったという。

結局、連絡先も交換することもなかったのだとか。

終わり

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