人生で唯一の恐怖体験 押入れの中の気味の悪い人形

友達の家に遊びに行ったときの話です。

バイト先の友達です。

仮に田中さん(女性)としておきます。

私には霊感というものはまったくなく、幽霊やお化けを見たことは一度もありません。

幽霊どころか、金縛りの経験すらありませんでした。

ある日。

バイト上がりに田中さんの家に遊びに行きました。

この家に来るのは、その日で3回目だったと思います。

そこはけっこう古いのアパートのようですが、リフォームがしてあるため見た目は綺麗な建物です。

だから、まったく不気味な雰囲気というものは感じられませんでした。

その部屋で、お酒を飲みながらいろいろ話しました。

恋の話やバイト先の店長の愚痴など、話は尽きません。

途中、田中さんに彼氏から電話がありました。

深刻な話になっているようです。

携帯で話しながら、私に「ごめんね」の目配せをしてきます。

どうやら、少し長くなりそうという意味のようです。

そして、部屋の外に出て行きました。

時刻は、夜10時過ぎです。

私は、部屋に一人でやることがありません。

やることがないので、テレビをつけさせてもらいました。

パチパチとチャンネルを変えていたのですが、とくに見たい番組もありません。

と、そのとき。

何かの音に気が付きました。

ピチャ

ピチャッ

何の音でしょうか。

ただ、それほど気にせずに、リモコンを片手にテレビを眺めていました・・・

ピチャ

ボン

ピチャッ

ボンッ

やはり、音が聞こえます。

今度は気のせいではなく、はっきりと聞こえました。

さっきの「ピチャ」だけでなく、「ボン」という音まで聞こえました。

すぐ近くから聞こえてきたような気がして、辺りを見回します。

ピチャ

ボン

ピチャッ

ボンッ

どうやら、押入れの中から聞こえてくるようです。

人の家の押し入れを勝手に開ける趣味はありませんが、開けさせてもらうことにしました・・・

どうしても気になってしまったのです。

・・・・・・・・ッ!?

・・・・・・・・・・・・・・・・なんと、押入れの中でフランス人形のような外国の人形が跳ねていました。

魚が跳ねるようにです・・・・

ピチャ

ボン

ピチャッ

ボンッ

私は、あまりのことに腰を抜かしそうになりながらも、玄関口まで逃げました。

「あわあわ・・・・」と言葉にならぬ声を上げていたと思います。

すると、ちょうどそこへ電話を終えた田中さんが戻ってきました。

私を見て驚いてるようです。

「どうしたの?顔真っ青だよ?」

私は、今見たものを伝えようとしたのですが、言葉が上手く出ません。

「押入れ・・・・押入れ・・・」

やっと出た言葉がこれでした。

言葉が出ないので、指を差しながらジェスチャーで伝えます。

「えー?押入れがどうしたの?」

田中さんは部屋に入っていきます。

私はおっかなびっくり後をついていきました・・・

不思議なことに、さきほど開けっ放しにしていたはずの襖(ふすま)がピタリと閉じています。

田中さんは「押入れだよね?」と言いながら、ふすまに手を伸ばしました。

その瞬間・・・私は逃げ出そうとしましたが・・・・

あれ。

押入れの中は、荷物が入っているだけです。

荷物は整理整頓されており、綺麗でした。

さきほどの、気味の悪い外国の人形はありません。

・・・・見間違いだったのでしょうか。

安心しましたが、一方で落ち込んだ自分もいました。

お酒で幻覚見るのはマズイですし、私が理由なく他人の家の押し入れを開けたみたいになってしまったのです。

それ以来。

なんだか気が引けてしまい、田中さんの家に遊びに行くことは無くなりました。

ただ、それから3~4か月たったころ、田中さんから話しかけられました・・・

「あのさ、○○ちゃん。この前、うちの押し入れで何か見たんだよね・・・?それって、もしかして・・・・気味の悪い人形が飛び跳ねていたの・・・?」

私は驚きました。

どうやら、田中さんも同じものを見たというのです。

つまりあれは、見間違いでも幻覚でもなかったのです・・・・

・・・あれから随分立ちましたが、今でも脳裏に焼き付いています。

ピチャ、ピチャッ、と魚のように飛び跳ねる気味の悪い人形の姿が・・・・

終わり

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