前回→山道での洒落にならない恐怖体験2 (→1話から読む)
どういうことでしょうか。
私には、京子の言っている意味が分かりません。
「それは、私は女の人を轢いていないってこと?そもそも、轢かれた人は、存在しないってこと?」
京子の言っていることは、それであっているのでしょうか。
「うん。そういうことになるね。ミサ、長時間の運転で疲れてるんじゃない?免許取ったばかりで、きっと気持ちが張り詰めてたんだよ。」
私は、腑に落ちない部分もありました。
ですが、どんなに探しても倒れている女性がいません。
なんだか、京子の言う通りな気もしてきました。
「そうだね。私疲れてるのかも。」
二人で車に戻ると、私は溜息を吐きました。
疲れもありましたが、安心感の方が大きかったです。
「良かった、人を轢いてなくて。」心からそう思えました。
もしも、人を轢いてしまっていたら、今頃は大変なことになっていたでしょうから。
気を取り直して、シートベルトを締めるとアクセルを踏み込みます。
京子は気を使ってくれているのか、私にたくさん話しかけてくれました。
ですが、数分後。
急に京子は、黙ってしまいました。
私が何か話しかけても、ほとんど返事をしてくれません。
そして何を思ったのか、こんなことを言いました。
「ね、音楽かけようよ!なるべく明るい曲が良いな。」
私に気を使ってくれているのでしょうか。
明るい曲をかけて、私を元気にしてくれようとしているのでしょうか。
でも、京子が考えていることは全く違うことでした。