前回→ちょっとエッチな女の幽霊 本当の体験4 (→1話から読む)
13歳になるのが、とても楽しみだった。
今か今かと、誕生日を待ちわびた。
そして、その日はやってきた。
この日をどれだけ待ち望んだことだろう。
あの女の人に会える。
そう考えただけで、俺は胸は苦しくなった。
夜がなかなか来ない。
一日千秋の思いとは、まさにそのときの俺の気持ちを表しているようだ。
その日は、夕食もほとんどノドを通らなかった。
母親が心配しているが、今の俺はそれを気にかけている余裕はない。
今か今かと夜を待ち、早くに布団に入った。
そのときを待つのだ。
一秒が永遠にも感じられるくらい永かった。
21時、22時、23時、24時、25時・・・・
おかしい。
いつもなら、もう来ている時間だ。
寝返りをうてば会えるはずだった。
俺は幾度となく寝返りをうった。
だが、そのたびにむなしくなってしまう。
なぜなのだろうか。
何か嫌われるようなことをしてしまったのだろうか。
必死で考えた。
でも、まったく思い当たることはなかった。
壁の時計を見た。
もう深夜3時を回っている。
結局、朝まで待った。
女の人は来てくれなかった。
次の月も、その次の月も待った。
でも、2度と俺の前には現れなかった。
どうしても伝えたいことがあったのに。
自分の気持ちを言いたかった。
あの人は、俺の初恋だった。
その後、人並みに恋もしたし、彼女もできた。
でも。
あんなに胸がときめいたのなんて、後にも先もあのときだけだった。
あんな魅力的な女性と出会うことは、この先もないだろう。
幽霊が初恋の相手だなんて、他人に話したら笑われるかもしれない。
俺は本気だった。
本気で大好きだった。
最後にあった日のことを思い出す。
きっと、最後に抱きしめてくれたのは
「もう会えない」
という意味だったのかもしれない。
お別れを伝えてくれたのだろう。
そういえば、あの人は寂しそうな顔してたように思えた。
大人になった今でも、会いたい。
子供のころの気持ち伝えたい。
あなたは俺の初恋です、と・・・
終わり