俺は小学6年生のときに怖い体験をした。
いや。
正確に言えば、怖くない。
不思議な体験といった方がいいかもしれない。
ちょうど12歳の誕生日を迎えた夜のことだった。
その日、俺はなかなか寝付けずにいた。
壁の時計を見ると、夜の12時を過ぎている。
こんな夜中まで起きていたら、明日の朝起きられないかもしれない。
早く寝なければと焦り、寝返りをうつ。
寝返りをうって驚いた。
なんと、ベッドの隣に女の人が眠っているではないか。
俺は危うく叫びだすところだった。
見たこともない女の人だった。
年齢は分からないが、大人だ。
突然のことに、驚きと恐怖を感じる。
女の人は、よく見るとかなり綺麗な人だった。
しかも、ちょっとだけ格好がエッチだ。
白い浴衣のようなものを着崩していて、胸が見えそうなのだ。
なぜ女の人の格好までわかるかというと。
豆電球をつけて寝ているため、暗闇でも目が見えるのだ。
だんだんと恐怖心が薄れていく。
恥ずかしながら、恐怖よりもエロスな気持ちが勝ってしまっている自分がいる。
女の人を、じっと見つめてしまう。
そして、どうしても胸に目がいってしまう。
俺は迷った末、女の人に声をかけてみた。
それは勇気のいるのことだった。
「あのー、すみません。誰ですか?」
返事はない。
寝ているのだろうか。
もう一度聞いてみよう。
「あの・・・」
そこまで言うと、女の人は軽く目を開けて俺の手を握った。
ドキッとした。
その手は驚くほど冷たかった。
だが、俺がドキッとしたのは違う理由だ。
こんな綺麗な女の人が、エッチな格好で俺の手を握っているのだ。
興奮するなという方が無理だ。
俺は、女の人が手を離してしまうのが嫌で、もう何も話しかけられなくなってしまった。
しばらくすると、女の人はまた静かに目を瞑った。