戦慄・恐怖の心霊体験「海辺とカップルビデオ」3

前回→戦慄・恐怖の心霊体験「海辺とカップルビデオ」2   (→1話から読む)

「やめてーーー!来ないでーーーー!助けてーーー!」

女性の声が部屋中に響いた。

俺の思考は一瞬停止した。

だが、すぐに冷静になる。

この声は、目の前の彼女が発した声ではない。

ではどこだろうか。

真っ暗な中、あたりを見渡すが何も見えない。

次の瞬間、突然部屋がぼうっと明るくなった。

テレビが勝手についたのだ。

そして、またあの声が部屋中に響き渡る。

「やめてーーー!来ないでーーーー!助けてーーー!」

テレビ画面には、先ほどのホラー映画が流れている。

頭が真っ白になった。

こんなことがありえるのだろうか。

突然停電したかと思ったら、叫び声が聞こえ、テレビが勝手につき、ビデオの同じシーンだけが何度も繰り返されたのだ。

常識では考えられないことだ。

俺は、無言で立ち上がり、テレビを消した。

そして、ビデオデッキからビデオテープを抜いた。

すると、部屋の明かりも元通りになった。

急いで、明かりをマックスに明るくし、テレビやビデオの調子を確認した。

とくに異常はなさそうだ。

いったいどうなっているんだろうか。

俺は、ビデオテープを眺めた。

そして、全身に鳥肌が立つのを感じた。

ビデオテープは、最初まで巻き戻されていたのだ。

つまりこの状態では、仮に再生ボタンを押したとしても映画の冒頭が流れるだけなのだ。

どう考えたって、クライマックスに近い恐怖シーンだけ繰り返されることなんてありえない。

俺はパニックになりそうだったが、彼女の前でそんな姿は見せらなかった。

そして、一言こう言った。

「このホテルは出よう。」

それが精一杯だった。

彼女は青ざめた顔で頷いた。

ホテルを出てから彼女を見ると、ずっと下を向いてしまっている。

「やっぱ俺、かっこ悪かったかな」と後悔の念が押し寄せてくる。

すると、彼女は消えるような声で俺に言った。

「私ね・・・さっきの部屋にいたとき何度か人の足音聞いてたの・・・・その足音ね、最初は部屋の外でしていたと思ったんだけど、電気が消えたときから、私たちがいた部屋の中から聞こえ始めたの・・・・」

彼女は顔が真っ青だった。

きっと俺も同じような顔色だっただろう。

二人は、ずっと口を開かなかった。

終わり

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