本当にあった海の怖い話2

前回→本当にあった海の怖い話

右足に絡み付いていたのは、人間の手だった。

決してきれいな海ではないから、下は見えない。

手探りで、それが分かる。

これは手だ。

怖さを通り越して、パニックだ。

「なんで、なんでこんなところに手が?」

意味が分からず、どうしていいかも分からない。

あまりのことに、声も出ない。

友達を呼ぶことも出来ない。

とにかく息だけはしなくてはならない。

呼吸したらもぐる、呼吸したらもぐるを繰り返し、謎の手を解こうとした。

だが、一向に解けない。

むしろ、さっきより強い力で握られている。

このままだと、息も危ないかもしれない。

少しずつ、息が苦しくなってくる。

波とのタイミングが合わないと呼吸が出来ない。

そして、焦れば焦るほど波とのタイミングがずれていく。

冷静さを失ってはならないのだが、この状況で冷静にはなれなかった。

何度も海水を飲んだ。

鼻から大量の水を吸い込んでしまった。

ノドが痛く、むせて苦しい。

呼吸は限界に近かい。

どれくらいこんなことをしているだろう。

おそらく、友人たちはもう浜辺へ戻ってしまった。

きっと、俺は一人で遊んでいるとでも思っているのかもしれない。

周りを確認できる余裕はないが、助けてくれる相手はいない。

その海で、自分だけが取り残されているような気がした。

もうダメかもしれないと、思い始めていた。

そろそろ呼吸は限界を超え始めた。

足首を掴む手の力は、益々強くなっていて、もう解ける気がしない。

俺は、生を諦めた。

これはきっと人間には勝てない相手なのだ。

・・・その瞬間は突然訪れた。

あれだけ強く握られていた手が、ぱっと離れたのだ。

まるで、今までのことが嘘だったかのように足首を掴む手がなくなった。

俺は、夢中で息をした。

空気がこんなにありがたいものだとは思わなかった。

そして、一目散にそこから離れる。

走りたくても海の中では走れない。

もどかしさと、恐怖。

いつまた、あの手が襲ってくるのかが分からないのだ。

自分の動きがスローモーションに感じる。

とにかく無我夢中で砂浜を目指した。

続き→本当にあった海の怖い話3

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