あれは、俺が小学5年生のころに体験した話。
当時俺は、秘密基地を作って遊んでいた。
友人達と作った基地だ。
5年だったから「秘密基地」なんて呼び方はしていなかったが、遊びの内容は秘密基地そのものだった。
学校のそばに小さな山があり、その山には誰も使っていないボロボロの小屋があったのだ。
その小屋を軽く掃除して(本当に軽く)、友人たちでたまり場にして遊んでいた。
駄菓子やジュースを持ち込んだり、漫画やポータブルタイプのゲーム機で遊んだ。
昔遊びのコマが流行った時期もあった。
あ、アダルトな本を持ち込んで、みんなで死ぬ程興奮したこともあった。
そんなある日の放課後。
俺は、一番乗りでその小屋に着いた。
家が一番近かったというのと、他の連中は学校へ居残りだそうだ。
作業だか委員会だかがあるとか言っていた。
そんな理由で、俺だけかなり早く着いてしまったのだ。
最初は、小屋の外で待っていたが、どうにも退屈で中に入って待つことにした。
俺は、それ程臆病な人間ではないはずなのだが、一人で入った小屋はちょっと薄気味悪かった。
まだ昼間なのに薄暗い。
普段は、みんなでうるさくしていたから気がつかなかったが、一人だと耳が痛くなるくらい静かだった。
「ああ、早く誰か来ないかな。暇で死にそうだよ。」
わざと大きな声でつぶやいてみる。
本当は暇というよりも怖いのだ。
「ああ、本当に早く誰か来てくれ。俺、マジで怖いよ。」
今度は心の中でつぶやいた。
そのとき、外に誰かが見えた。
小屋には小さな窓があるのだが、窓の外に誰か居る。
何で入ってこないのだろうか。
「おーい。誰だ?中に入れよ。俺一人で死ぬほど暇してたんだから!」
明るく声をかけながら窓に近づいた。
必要以上に明るい声を出したのは、無意識では気が付いていたのかもしれない。
外にいるのが友人ではないことを。
続き→実話「山の怖い話」心霊2