怖い話実話 長編「夢でよかった」8

前回→怖い話実話「夢でよかった」7   (→1話から読む)

俺は、少しの間黙った。

どこから説明していいか分からない。

なにより、色々ありすぎて冷静になれない。

1分くらいだろうか。

それとも、10分くらい黙っていただろうか。

友人宅へ来られたことに安心してしまったせいか、時間の感覚が分からなくなっていた。

そして、ぽつりぽつり昨日からの出来事を話し始める。

話すまでは長かったが、一度話し始めると止まらなくなった。

話しているうちに俺自身が興奮してしまい、上手く説明できているのか分からなかった。

だが、最初のうちこそ適当に相槌を打っていた友達も、最後には顔に恐怖を浮かべているように見えた。

「この話、ドッキリじゃないよな?」

話を聞いてくれてから、彼が初めて発した言葉だ。

「当たり前だろっ!こんなドッキリしかけるかっ!」

「そうだよな。お前の怯えっぷりを見れば、冗談じゃないことが分かるけど。とにかく、そのビデオテープ、警察に持っていったほうがいい。俺たちだけじゃ手に負えそうにない。そいつ、完全にいかれてるだろ。」

「ああ、本当にそうだ。俺も警察に行くつもりだ。でも、とにかく家に居たくなくてな。あの映像を見たらお前にも分かる。とにかく不気味で。」

思い出すだけで、背筋に冷たいものを感じる。

「今から、お前の部屋に行こう。俺も一緒に行く。何か武器が要るな。包丁でも持っていくか?」

真顔で聞いてきた。

本当は包丁でも、ピストルでも持ちたかったが、さすがにそんな物を持って出歩いたら、俺たちが捕まりかねない。

いろいろ家捜しして、友達はスパナ(工具の一種)をバッグに詰め込んだ。

これでも無いよりはましだろ。

本音を言えば、戻りたくない。

でも、ビデオテープはあの部屋の中にある。

こんなことなら、テープを持ってくればよかった。

あの時は、とにかくその場から逃げ出したい一心だったのだと思う。

アパートへ戻るしかないのだ。

二人で、駅に向かった。

友達宅から電車に乗るまでの間ずっと、俺は周囲を警戒していた。

俺の不安を感じ取ったのか、友達が言ってくれた。

「大丈夫だ。もし変な奴がいても、こっちは男2人だ。ぶっ飛ばしてやろう。」

やけに頼もしく見える。

そうこうしているうちに、電車は目的の駅(最寄り駅)に到着した。

電車内では多少の会話があったものの、電車を降りてからはお互いに一切口を開かなかった。

続き→怖い話実話「夢でよかった」9

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